野球肩・野球肘
こんなお悩みはありませんか?

野球肩・野球肘は野球の投手に多くみられますが、テニスやバレーボールなどの競技でも起こることがあります。
このようなお悩みがある方は「野球肩・野球肘」の可能性があります。
投球時や投球後に肩や肘が痛む
投投球フォームが悪い、もしくは最近フォームを変えてから肩や肘に痛みが出ている
投球数が多くなってきた際に肩や肘の痛みが増えている
体幹や肩の筋力が弱い、もしくは身体全体の筋力が弱くなってきている(ジュニア期・壮年期)
筋肉の柔軟性が不足している
当てはまる方は、痛みが落ち着くまで安静にすることをおすすめします。
痛みを我慢しながら競技を続けると症状が軽減しにくくなったり、場合によっては手術を検討しなければならないほどの状態になることがあります。
野球肩・野球肘について知っておくべきこと

「野球肩」
野球肩には種類があります。
● インピンジメント症候群
投球動作などで肩を使うたびに肩峰や靭帯に上腕骨頭が接触し、肩峰下滑液包が炎症を起こします。肩より腕を高く上げる動作を繰り返すと発症しやすく、一定の角度で痛みや引っ掛かりを感じて腕を上げることが難しくなることがあります。
● 腱板損傷
棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の四つの筋肉の腱の部分が集合した回旋筋腱板(ローテーターカフといいます)に損傷が生じる状態です。
腱板損傷は肩関節と腱板が衝突して起こるケガで、投球動作の繰り返しや転倒して肩を強くぶつけたときなどに発症します。痛みで腕が上がらなくなったり、痛みにより眠れなくなることがあります。
● 上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー)
少年野球など成長期の選手に多くみられる投球障害で、リトルリーグショルダーとも呼ばれます。
成長期の骨は大人に比べて強度が低いため、繰り返しの投球などによるオーバーユースによって上腕骨の骨端線(成長線)に離開が生じます。主な症状は投球直後の鋭い痛みで、投球後まで痛みが続くこともあります。放っておくと成長障害が起こる可能性があります。
● 肩甲上神経損傷
棘下筋をコントロールする肩甲上神経が、投球動作によって過伸張や圧迫を受け損傷している状態です。
フォロースルーのように腕を振り下ろす動作をした際に神経が締め付けられ、痛みやしびれ、疲労感などが生じる障害です。テニスやバレーボールなど、野球以外のスポーツでも起こることがあります。
「野球肘」
● 内側型野球肘
投球動作では加速期に腕が前方へ振り出される際、肘に強い外反負荷がかかり、肘の内側にある内側上顆に負荷が加わります。さらに、ボールリリースからフォロースルー期でも手首が背屈から掌屈へ、前腕は回内し、指は屈曲方向へ素早く動くため、肘の内側に強い負荷がかかります。
この動作の繰り返しにより、年齢によって構造的に最も弱い部分に負荷がかかり損傷が生じます。
● 外側型野球肘
投球動作の加速期における外反ストレスによって、腕橈関節と呼ばれる肘関節の外側に圧迫の力が働き、さらにフォロースルー期には関節面に捻れる力が働きます。このストレスの繰り返しによって外側型野球肘が生じます。
● 後方型野球肘
ボールを投げる際、フォロースルーで肘が伸びるときに肘の後方に衝突するような負荷がかかります。この動作を繰り返すことで骨端線や骨、骨軟骨に痛みが生じます。
症状の現れ方は?

野球肩や野球肘の主な症状は、ボールを投げるときや投げた後に肩や肘が痛くなることです。
一球で痛みが出て投げられなくなる場合や、徐々に痛みが出て痛みが慢性化する場合があります。多くの場合、日常動作で痛みを感じることはありませんが、症状がひどくなると日常生活で肩や肘の曲げ伸ばしで痛みを感じたり、肩や肘が急に動かせなくなることもあります。
ルーズショルダーと呼ばれる「動揺肩・動揺性肩関節症」は、上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯や関節包が生まれつき緩い方や、可動域が広すぎる方に多くみられるスポーツ障害です。
これも肩の使いすぎにより周辺組織を損傷し、炎症が起こることがあります。
肩の痛みや不安定感、脱力感などを伴い、フォロースルー時に肩が抜けるような感覚が生じることもあります。
その他の原因は?

野球肩も野球肘も、投げすぎ(オーバーユース)による関節への過剰なストレスの繰り返しが原因です。投球時に痛みが出て、投球後も痛みが残ることがあります。
11〜16歳のピッチャーに多く、成長期の選手に多発するスポーツ障害です。
肩関節周囲の筋肉が筋力不足になっていると可動域が制限され、関節の安定性が低下するため、円滑な関節運動が行いにくくなります。成長期だけでなく、競技にブランクがある場合も、投球に使う筋肉の筋力が低下しているため、以前と同じ投げ方をすると身体が追いつかずに痛めてしまうことがあります。
体幹の筋力が弱く、股関節の柔軟性が低下していると「手投げ」になり、球に力が伝わりにくくなるため、球速や球の威力が低下しやすくなります。その結果、肩や肘に負担がかかり、損傷につながる場合があります。
野球肩・野球肘を放置するとどうなる?

野球肩や野球肘を放置すると、慢性化や運動パフォーマンスの低下につながってしまいます。
日常動作でも痛みが出るなどの支障が出てきます。
腱の断裂や疲労骨折、関節の変形が起こる場合や、肘の関節ネズミ、肘部管症候群、手根管症候群などの原因となることもあります。
痛みが我慢できるからと放置したり、施術の途中で痛みが緩和してきたからと自己判断で施術をやめてしまうと、上記のような後遺症につながってしまうことがあります。
競技を続けないからといって施術をしないのではなく、今後の日常生活に支障を起こさないためにも、早めに施術を受けて健康で不自由のない生活が送れるようにしていくことが大切です。
当院の施術方法について

痛みや熱感が出ている時は、なるべく安静にしてください。
安静とは、投球など痛みの原因となる動作を控えることです。
熱感がある時は、氷嚢などを使用してアイシングを行います。冷やし過ぎると血行が悪くなるため、肌に触れた時にひんやりしていれば外しても問題ありません。15分くらいを目安に外して確認してください。
熱感が取れている場合は、遠赤外線マットで患部を温めます。
肩や肘の動きに関わる筋肉を中心に手技を行います。筋肉をほぐし血行を良くすることで、自然な回復力が働きやすい状態に導きます。
● 提案する施術例
主に肩・肘の可動域や筋肉の柔軟性を高めることを目的とした施術を行います。
筋肉の柔軟性を高める施術としては「鍼施術」と「上半身ストレッチ」があります。
「鍼施術」は、指では届かない深層の筋肉にもアプローチでき、患部へ一定の刺激を与えることで慢性的な緊張が緩和されやすく、身体をリラックスさせる働きが期待できます。自然な回復力や免疫の働きをサポートし、自律神経の乱れを軽減しながら新陳代謝がスムーズに働く状態へ導きます。鍼施術には、鎮痛サポートや自律神経系(疼痛・筋緊張の軽減、血流の促進など)への働きが期待できます。
「上半身ストレッチ」は、胸・肩から腕の筋肉をストレッチする施術です。筋肉の柔軟性だけでなく、可動域の広がりも期待できます。肩関節を動かす筋肉を重点的に伸ばすため、投球動作を行う競技をされる方にはおすすめの施術です。
肩関節の可動域を高める施術としては「肩甲骨はがし」も好評です。
肩甲骨周囲の筋肉が硬くなると肩関節の動きが悪くなり、手が挙がりにくいなどの日常生活動作に支障が出ることがあります。肩甲骨はがしは、周囲の筋肉のコリの軽減や、肩甲骨の前方突出による姿勢の崩れを予防することが期待できます。
軽減していく上でのポイント

投球時に痛みがあり、患部に熱を持っている時は、なるべく競技を休むようにしてください。
ランニングなどの練習に切り替え、肩や肘に負担をかけないようにしましょう。
投球する時は、痛みが強くならないうちに投球を止め、冷却剤や湿布などで炎症を抑えるようにしてください。
投球のフォームが原因で肩を痛めている場合は、投球のフェーズによって注意するポイントが変わってきます。
特に痛みが出やすいのは、軸足が地面に付き、肩・体幹・股関節が最大限にしなっている時(レイトコッキング期)です。上半身と下半身の筋肉の柔軟性や筋力、分離した動きができているかが重要なポイントになります。
他のフェーズでも、上肢・下肢の動き、筋肉の柔軟性、インナーマッスルの強度、体幹の筋力などが注意点として挙げられます。
身体への負担が少ないフォームにするには、1人だけで行うのは難しい場合があります。チームやご家族の方に協力していただき、投球の映像を確認しながら修正したり、トレーニングを行う必要があります。
セルフケアとしては、肩や腕の筋肉のストレッチを行ってください。
筋肉が伸びて「気持ちいい」と感じる程度の強さで十分に軽減が期待できます。
痛みを感じるほど強く行うと、痛みによって力が入りストレッチの効果を得にくくなります。痛みを感じる手前くらいの強さでストレッチを行ってください。
監修
安倍川駅前総合治療院 院長
資格:柔道整復師
出身地:静岡県浜松市
趣味・特技:食べ歩き、買い物




